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【1話】
福岡市医師会の理事職を、平成22年4月からつとめております。担当業務は、生涯教育・学術担当です。この業務は、平たく言えば、医師の日々の医学の勉強をする機会を、企画提供することであり、生涯にわたる医師の研鑽をお手伝いすることです。
平成22年度から、新しい生涯教育制度に変わり、単位制・カリキュラム制が導入されました。専門分野に限らず、原点にかえって、広い範囲にわたり、医学を学ぶことが必要になりました。専門医、臓器分野別の診療が主流の昨今でありますが、臓器を診て患者を診ず、疾患を診て患者を診ずと耳痛いことも、言われています。医師は、人間として一人の患者を診るわけであり、患者の全体像を理解することが基本であることは、言うまでもありません。これは理念として理解していますが、実際の医療現場ではなかなか実践できていません。
実は、専門分野に優れている医師は、その基盤となる医学知識、医学経験はその専門分野に限らず、それ以外の分野にも広がっています。すなわち、名医と言われている先生は、あらゆる分野に精通していることが多々あります。
テレビでは、面白医学番組が流行しています。そこに登場される先生方の大半は、診療の技術・スキルはもちろん一流でありますが、実はその診断に至る思考過程が非凡な先生がおられます。これを表現できている医学番組は、良質でありますが、なかなかそうでもないのが、現実です。面白おかしく医学番組では、実際の日々の医療に誤解をもたらすことがあります。
これを改善するためには、医療サイドが、良質な正確な医療情報を常に発信し続けることが大切だと思います。しかし、これも経済性を考えれば難しい。現実と理想。いつもこの最終駅に到着します。