B型肝炎の抗ウィルス治療薬として、ラミブジンの問題点は、次に集約されます。@投与中のみ抗ウィルス作用があり、服用中止後、ウィルスの再活動がある。A長期投与中にウィルスの変異株が出現し、肝炎の再発がある。B投与期間の設定が不明である。@とBは、ラミブジンの内服を始めると、かなりの長期にわたって、服用を続けなければならなず、中止すると、ウィルスの再増殖と伴に、肝炎の急性増悪が起こる可能性があることを意味します。ですから、いつまで服用を続けるかを見極めることが難しい。症例によっては、一生、服用しなければならないこともある。Aは、ラミブジンの内服期間が長くなると、ラミブジン耐性ウィルス(YMDD変異ウィルス)の出現率が高くなり(年率15%程度、3年で30%、5年で50%に耐性ウィルスが出現)、肝炎の再燃が起こることです。しかし、この肝炎は軽度であり、内服を中止することはしません。もし、耐性ウィルスの出現と伴に、ラミブジンを中止すると、B型肝炎本来の活動性が高いウィルス株(野生型とも言います。)が、再増殖して、肝炎がより重症化する可能性が高いからです。
 耐性ウィルスの出現については、出現しやすい症例と、出現しにくい症例があることが判明しています。耐性ウィルスは、HBe抗原陽性で、ウィルス量が多い症例で出現頻度が高いことが分かってきました。このことから、ラミブジンは、HBe抗体陽性かつウィルス量が少ない症例が良い適応になると考えられています。
 また耐性ウィルスの治療として、2004年12月から、核酸アナログ製剤アデフォビル(ヘプセラ)が保険認可となりました。アデフォビルは、変異したウィルスに対して治療効果があります。この薬は、欧米ではすでに認可されていたのですが、今までは、個人輸入などの頼っていた日本でも、保険での投薬が可能となりました。耐性ウィルスが出現し、肝炎の再燃が生じた時は、ラミブジンとアデフォビルの両方の投薬が必要となります。ただ頭が痛いことは、二つの薬代が高いことです。







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17話 ラミブジン治療の問題点とアデフォビル

肝臓小話