肝臓小話
13話 インターフェロン治療のガイドライン
 C型慢性肝炎のインターフェロン治療を左右する因子として、性別、年齢、ALTの値、血小板数など多数の因子が考えられましたが、結局次の結論に至っています。
 C型慢性肝炎のインターフェロン治療の著効率は、C型肝炎の関連因子(ウィルス量ウィルスのタイプ)で左右されます。その他に、γ-GTP、性別、年齢などの因子が影響します。著効とは、肝炎ウィルスが体内から完全に除去されるされる状態で、インターフェロン治療終了後6ヶ月間ウィルスの陰性化を持続すれば、著効と判定します。ウィルスが陽性でも、肝機能が正常である場合は有効と判定します。
 高ウィルス量(100kcopy/ml以上)、ジェノタイプ1b(セロタイプ1)の症例は、C型慢性肝炎の日本人の約70%を占めると言われていますが、難治例が多く、著効率が低いです。一方、低ウィルス量(5logcopy/ml以下)で、ジェノタイプ2a/2b(セロタイプ2)の症例は、日本人には少ないタイプで、著効率が高いです。高ウィルス量(5logcopy/ml以上)、ジェノタイプ1b(セロタイプ1)の症例は、インターフェロン単独では効果が低いので、抗ウィルス薬リバビリンとの併用で、治療効果を上げています。
 インターフェロンの新しいタイプで、週一回の投与で持続効果があるペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が、難治例に対して、かなりの効果が認められました。その結果、2004年12月から、リバビリンとペグインターフェロン(ペグイントロン)の同時投与が、保険適応になり、治療方針も変更になりました。さらに、2007年3月から、他のペグインターフェロン(ペガシス)と、リバビリンの併用療法も認可され、初回治療の選択がひろがりました。
 C型肝炎に対するインターフェロン治療を初回治療と再治療に分けてまとめると、次のようになります。再治療においては、ペグイントロン+リバビリンの治療が中心で、ペガシス+リバビリンの治療適応が制限されています。セロタイプ2の方で、以前リバビリンを内服した治療を受けた方は、残念ながら新しいペガシス+リバビリンの治療を受けられないことです。

初回治療
ウィルスのタイプ

ウィルスの量
  1b(セロタイプ1)  2a/2b(セロタイプ2)
5logcopy/ml以上
(高ウィルス量)

●ペグイントロン+リバビリン(48週)
●ペガシス+リバビリン   (48週)

●ペグイントロン+リバビリン   (24週)
5kogcopy/ml以下
(低ウィルス量)
●ペガシス(24-48週) ●ペガシス(24-48週)



再治療
ウィルスのタイプ

ウィルスの量
  1b(セロタイプ1)  2a/2b(セロタイプ2)
5logcopy/ml以上
(高ウィルス量)

●ペグイントロン+リバビリン(48週)
●ペガシス+リバビリン   (48週)

●ペグイントロン+リバビリン   (24週)
5logcopy/ml以上
(低ウィルス量)
●ペグイントロン+リバビリン(24週) ●ペグイントロン+リバビリン   (24週)

                                                                            2007年5月現在






                     岡部・浦川クリニック